思考の整理学 (ちくま文庫)
外山 滋比古
筑摩書房 刊
発売日 1986-04-24
高校生/大学生の境目に 2010-05-06
“東大・京大で一番読まれた本”という大仰な文句がついているのが、
この『思考の整理学』だ。内容は、知識のインプットからそれの脳内あ
るいはノート内で編集する方法、さらにそれのアウトプットの方法まで、
著者自身がこれまで経験を元にまとめた、研究者には限定されないあ
らゆる分野に汎用的に使われるような思考整理術が披露される。
読んでみると暗黙裏にこの本は、“大学以降”の人たちを対象にしてい
るとわかる。それは飛行させられるグライダーと能動的に空を駆ける飛
行機という対比にも表れていて、主に知識の「ストック」を巡って争われ
る大学受験までは、グライダーとしての能力が試される。いわずもがな、
この本が論じようとしているのは、自由奔放に思考をめぐらすための、
飛行能力の側だ。
ただ汎用的であるがゆえに議論としては一般論に終始しているため、
もっと実践的なメソッドを期待して手に取った人は、失望するかもしれな
い。
しかし、理念的にはものすごく重要なことを述べている。
ひとつは、コンピューターという究極の「グライダー」の登場により、人間
は知識の蓄積から解放される一方、思考することに重きがおかれるだ
ろうという予期だ。検索エンジンが一般化する20年以上前にこのことに
気がついた著者の青眼は、どんなに評価しても評価しきれない。
そしてそんな思考については、実は「私」という頭の主人による「スタンド
プレー」ではないことを本書は明かす。「発酵」という比喩に象徴されると
おり、考えるというのには、自分のなかの「自分あらざる者」によって生み
出されることを「待つ」、というニュアンスがある。人にできるのはせいぜ
い、早起きであったりノートの編集術であったり、そのアイディアが降って
くるまでその「環境」をより降りてきやすい快適なものへ整備すること、そ
れくらいだ。
この二点において、高校生から大学生にかけて、この本に出会うことの
意義はあまりある。
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